記録日：4月23日（日）
記録者：Kau
貸スタジオにて生ドラムのレコーディング。実は生ドラムをレコーディングするのは初めて。ちょうどサンレコに特集があったので、熟読して臨む。
プロのレコーディングのようにマルチマイクで録音できれば一番よいのだが、マイクの本数の問題やマルチにすると位相がからんできて難しいこともあり、妥当な線で３本（オーバーヘッドのステレオ＋キック）で録音することにする。
ちょうどスタジオにMACKIE.の12chミキサーがあったので、マイクをつないでバランスを取る。オーバーヘッドはドラマーの頭上50cmに、キックは正面からやはり50cmぐらい離したところに置く。ドラムキットはガムテープで目一杯ミュートしてもらう。
スタジオにVSを持ち込み、ミキサーからステレオで入力。その際インサートでコンプをかます。一度コンプを通さず素のままで録音してみたが、生々しすぎていまいち。やはりかけ録りした方がまとまって聞こえる。
ドラマーの猿渡君にはVSからヘッドホンでクリック＋オケを流し、それに合わせて叩いてもらう。彼は相当に上手い人で、クリックに合わせて叩くのは初めてとのことだったが、数回の練習でバッチリ合う。
しかしヘッドホンからクリック音（カウベル）が漏れて、イントロのドラムなしの部分で異常に目立ってしまう。最初はVS内部で漏れてるのか？と思ったが、どうもオーバーヘッドのマイクが律儀に拾ってしまうらしい。コンプをかけているので余計に増幅されてしまうのだろう。ドラムが入ってくるとそれ程目立たないので、モニターを最小限に抑えて対処することにした。
何度か通して録音しては聞き直してフレーズを修正し（こういう時にテイクを溜めておけるヴァーチャルトラックは便利）、録音開始から２時間余りで無事収録完了。思ったよりいい音で録れた。これもひとえにドラマーの腕によるものだろう。猿渡君どうもありがとう。
残りの時間でサンプリング用にドラムキット単体の音や色々なパターンを叩いてもらう。オリジナルのブレイクビーツはかなり使えそう。
記録日：4月20日（木）
記録者：丹凡仙仁
MetaSynthを少々いじる。
まだぐりぐり絵を描いてフレーズを作るといった境地には至れず、サンプルを加工するといった方向性からのアプローチが続く。
最初、絵を描くImageSynthパレットに直接サンプルを取りこんで高速フーリエ変換して絵にし、それにペイントツールで手を加えるといったアプローチが出来るのかと思っていたのだが、どうもそういう風にはできないらしい。ただ、あらかじめサンプルを読み込み、パレット上のパターンによって音程とかを変える＝サンプルを絵で弾くという事は可能。またパレットのＹ軸座標に一つづつサンプルを振り分けるという、ドラムキットを組む時に便利な使い方もある。ここら辺は一般的なサンプラーと同じ考え方なので理解はしやすい。
あとサンプルを加工するという方向性ではeffectパレットがいい感じ。基本的にMetaSynthは非リアルタイム処理を基本としているが、effectのプレビューはリアルタイムで聴ける。だもんで、KaossPadやHyperPrismのようにグリグリとエフェクトのパラメータを変えて、良さげなところでレンダリングする。シャッフルがサンプルをランダムにシャッフルしてくれるやつで使えそうなフレーズが結構出来る。
その後、SuperColliderを触る。こいつはずーと気になりながらもほったかしになっていたのだ。要はこいつは音楽用のインタープリタ形式のプログラム言語なのだが、１行に収まるものはいいのだが複数行にわたるプログラム（つまりほとんどのプログラム）がうまく実行できなくて頭を抱えていたのだ。
とはいうものの完全にあきらめないでいたのはせっかくユーザー登録したのにもったいないという事もあり、エイフェックスツイン、ジム・オルーク、オウテカといったメンツが愛用していて、カッコイイやんというミーハーな理由もあるのだが、なによりも抜群に出音が良いのだ。
通常はSuperColliderで音を出すときはシンプルテキストのような感じのウィンドウにプログラムを書いて、Enterキーを押して実行、となる（はずな）のだが、いくつかのプログラムはライブラリになっていてメニューバーから実行できるようになっている。そのなかの"analog daze" "data space" "native algorithm"といったサウンドが素晴らしい出来。多分エイフェックスツインの"Bucephalus Bouncing Ball"のもとになっているであろうものもある。これらを実行すると仮想ミキサーにサウンドが立ちあがっていき、これをいじくってればちょっとしたインスタレーションが出来てしまう。とにかくこれをいじくっているだけでも結構幸せな気持ちになれちゃうのだ。
とはいいつつ、あんまり進展がないのも悲しい訳で、なんとかしたいという気持ちは常にあった。なにか理解のきっかけになるものはないかと作者の運営しているメーリングリストに入ったりしたが英語と内容の高度さで、動かし方もろくに判らない素人には歯が立たない。
日本人で使ってる人がいないかとホームページを検索してみると、それなりに名前はみかけるのだが使い方の解説なんかは無く、たまにそれらしい文章があるんでリンクに飛ぶとヨロズＨＰの実験日記だったりする、って俺だよ（笑）。つまり皆さんネット上でも非常に珍しいものを読んでいる訳です（笑）。
それでもしつこくWeb検索を続けていたら、去年の９月から大学でSuperColliderを使ったコンピュータミュージックの授業を持っている大学教授のHPで授業に使うテキスト丸々がアップされているのを発見。
またもや英語ではあるが、これならど素人のワシでもいけるかも、と早速ダウンロードして読んでみる。内容は音作りとアルゴリズム作曲の２部構成で問題と解答があったりして懐かしい感じ。とりあえず音作りの方を読む。
なになに、SuperColliderには二つの実行方法があって、一つは行の最後でエンターキーを押す。この場合リターンキーでは実行されない、と。このくらいならワシでも判ってる。もう一つは実行部分をマウスでドラッグして選択してエンターキーを押す、ありゃま、こんなんで良かったんだ。
というわけで、とりあえずテキストを終了してSuperColliderを起動、これまでエラーばかり出ていたサンプルをテキスト通りにやってみる、とブラボー！見事に動いた！
その後はこれまで聴く事のできなかったサンプルをかたっぱしから大試聴大会。素晴らしいものが目白押しで、特に"pentatonic pipes and bells"という例がすごい。行数にして６０行程度のプログラムなのだが、"music for airport"を思わせる極上のアンビエントを奏でてくれる。この実験日記を書く間、１時間位ずーっと流しっぱなしにしているのだが、飽きる事無く聴ける。なんかこれだけでもSuperColliderにこれまで費やした元をとったかな、という感じ。
記録日：4月18日（火）
記録者：ＴＨＯＲ
以前、ここ（ヨロズPATIO @nifty）がホームパーティーだった頃に「ちょっぴり立花ハジメ風のヘンテコで筋肉質なイントロ」って書いてたやつ（と言うか、FirstClassのゲートウェイで音盤堂やってた頃に「予告編」をアップロードしたやつ）も、一応ほぼ完成(^^)。
コードネーム「MUSCLE MOVEMENT NO.1」。最初に冒頭のフレーズを思いついたのは、たぶん94年頃で、96年頃に少し展開を付け加えて「予告編」まで漕ぎ着けたものの、完成までには程遠いままストップしていた(^^;。
ブラスとタムタムの絡みで始まる冒頭の主題からして半音進行があちこちに混ざっていてちょっとヘンだけど、一応基本調はハ長調のはず。サックスがCsus4-C#sus4-Csus4-C#sus4-Dsus4-D#sus4-Dsus4-D#sus4の構成音を拾っていくメロディーが次の主題で（これってハ長調か？(爆)）、引き続いて減五度で平行して下降する半音階進行が出てきたりして、何だかよく解らなくなってくる(^^;。それでもイントロのうちはＣ音に収束しようとするが、ハ長調で上がり嬰ヘ長調で下がるような「８音階」のベース・シーケンスが鳴り出し、「８音階」スケール上に乗ったノンコードのフレーズ群が重なり始めると、基本調などどこかへ消し飛んでしまう(^^;。低音域の半音進行の上昇音の連続に全音進行の下降音と２倍速の半音進行の下降音が絡んだあと、強引に、一応ハ長調？のsus4連続攻撃フレーズに回帰する。
後半は一気にリズムチェンジして、冒頭の主題を変形して短三度で平行させて「８音階」の合いの手を入れたり、減五度で平行させてみたり、最後はドラムの連打をバックに半音進行の簡単なリフを倍速、４倍速化しておしまい。などなど、勢いにまかせたよくわからん力技（？）に走ってしまって、はたしてこんな展開でいいのか〜って、若干不安はあるのだけど(^^;。
これもSC-55mkIIのみでやってみたけど、録音の時はJV-80も併用する予定。
さて、今月の目標を達成すべく、あと１曲、どれに手を付けるか（玉石混淆だがアイディアスケッチだけは一応たくさんある）。ちゃんとした調性があって（笑）、持ちネタの中では最も完成度の高い部類に入るイントロと、転調後のストリングスのアドリブだけができてる、５拍子のプログレ／ニューエイジ風、コードネーム「ICEBERGS」が最有力候補だけど、展開しようとしてイントロの完成度に太刀打ちできずに過去に何度も挫折している(^^;。
このイントロを作り出してから８年後の今、新たに太刀打ちできるかどうか。最近、力技は充実しつつあるが(^^;、躍る閻魔大王（笑）「UNDERGROUND EXPRESS」や「MUSCLE MOVEMENT NO.1」のような力技は、この曲には通用しないだろうなぁ(^^;。
とりあえず使えそうな新しい展開を１個打ち込んだところだが、今月中というのはちょいと難しいかも(^^;。
記録日：4月15日（土）
記録者：丹凡仙仁
少々間が空いたけれど、その間こまごまと実験をしておりました。
とりあえず「暴力画像王のテーマ」をSoundHackで吸い出してTWEで刻み、Acidでループをしてみる。bpmの設定をしてないので倍速になってしまうが見事にループ。こりゃ簡単ですな。この考えいらずさはサンプラーとは別次元のものかも。
なんとなくソフトシンセが気になったのでフリーウェアのものを探しているとWAVEというものを見つける。これはアナログシンセのシミュレートしたもので、16ステップのアナログつきでAIFFファイルも吐き出せるすぐれもの。音はKORGのPOLY-800を思わせる音で芯は無いのだけれど、コーラスとかの効きがまさにPOLY-800ぽくふくらんだ柔らかい良い音がする。OMS経由で通常の楽器としても使えるがAIFFで吐き出してAcidに取りこむのも悪くない。
あといわゆるPCM音源っぽいTimidityというソフト。ソフト自体はあまり大きいものではないが、音ファイルがテキストファイルになっていて、腕に覚えのある人は自分で作れたりするらしい。ワシが拾ってきたのは12Mの音色ファイルだが、ネット上では140M位のファイルがあるらしい。誰がダウンロードするのだろうか？いや、できんの？
あと、MetaSynthは常にいじくっているのだが、まじで深いソフトで面白い音は色々出てくるんだが、なんかまだイマイチ良く判らん。Acidの対極にある感じ。
Acidは思ったところにばしっと決まるがMetaSynthは思った通りに音が出るとは限らないが、思ってもみない凄い音が出ることがある。
もう少し理解してからレポートします（笑）。
記録日：4月6日（木）
記録者：丹凡仙仁
ひとまず実験→ソロ制作のためのハードウェア・ソフトウェアが急にパワーアップしてしまい、今やってみたい事はできる環境がすべてそろった我がスタジオであるが、店頭売りのコンピュータというのは自分の目的に合わせてチューニングしたほうが、より良いレスポンスを生む。つまりこんな環境（＝楽器）でも、手に馴染んだほうがいい演奏になるというものだ。
さしあたっての不満はないのだが、強いて言えばSoftWindowsで鳴らす音が悪い意味での8bitぽい音であることは少々耳ざわり。どうせAcidにしろWinGrooveにしろCDクオリティのファイルにレンダリングしてMac側で構築するか、音色はマックで作り込んでAcidでは構成だけ考えるとか、そういう使い方を想定しているので別に良いっちゃ良いのだが、いい音にこしたことはない。
SoftWindowsはエミュレータなのでハードウェアの構成をMacのメニューから色々と変更できる。少しでもCPUの負担を減らすようにWindows上からいらないファイルを消去したりFPUやMMXのシミュレートを停止したりしていると、だんだん音が悪くなってきて最後にはまともに動かなくなってしまった。うーむ、しょうがないのでSoftWindowsを再インストールして、さらにAcidを再インストールして今度は慎重にカスタマイズしていこうとした。
ところがいきなり動作がおかしい。なんで〜？
原因解明のため２日ほど夜中まで試行錯誤するが、サウンドカードのシミュレートをやめたとたんSoftWindows全体の音が劇的に向上した事で突破口が開けた。
サウンドカードのシミュレートはオフ、FPUとMMXのシミュレートをオンにすれば、十分なクオリティのサウンドが出るのだ。この設定はSoftWindows上で行うもので、この設定ファイルは再インストールしてもシステムフォルダに残っているため、再インンストールとも音が悪かったのでした。
という訳でBPMを合わせての再生ならMacから音を出しているときと変わらない音質を得る事が出来た。ただリアルタイムでエフェクトをガンガン掛けたりするとさすがにエミュレートが追い付かないらしく音飛びが出る。でも音のクオリティ自体は高いままなので、そのくらいは想像力でカバーだ。
記録日：4月3日（月）
記録者：丹凡仙仁
という訳でiBookを使った第１回目の実験日記。
とはいうものの最初からバリバリとソフトを使える訳も無く、まずシステムを整えソフトをインストール。買ってきたものだけでなく、SoundHackなどのMac用ソフトやSAKURAなどのWindows用ソフトもインストールするので一苦労。
ひとまずインストール大会が終わってから、集めていた情報からは問題無く動くと思われるAcidMusicを立ちあげる。最初に立ちあげた時に読みこむ曲がチュートリアルの朗読とそれに合わせた伴奏になってて面白い。
ちょっとエイリアスノイズが目立つが、曲をWAVファイルに変換してMac側で鳴らすといい感じで聴けた。
iBookについているスピーカーは貧弱なのだがヘッドフォンをつけて聴けば十分なクオリティが得られる。ていうか家のラジカセよりいい音がするような気がする。
次にMetaSynthのサンプルを聴く。もっと音色的なものしか描けないのかと思っていたが結構フレーズっぽいパターンも多い。そのままテクノ作れるようなフレーズもあれば、視覚的にも音響的にもアンビエントってのもある。これは凄いかも。
しかも画面構成がアミガのソフトっぽいのがなおよろしい。
このままではソフトをつまみ食いしては凄そうだといってるだけのこれまでの作業と同じになってしまうので、次なる展開に向けての作業へシフト。これまでMC-303やCsound、ZOOM1201などで作った俺用ネタCDをSoundHackでMacに吸いあげていく。
その後読みこんだファイルをループ用に編集する事にするが、編集するソフトが３つある。ヤマハのフリーウェアTWE、HyperPrismeとかを作っているArboretumのフリーウェアHyperEngine、あと多機能フリーウェアSoundEffectの３つ。この中ではほとんど使った事の無いHyperEngineを使う事にする。
このHyperEngineはArboretumのプラグインを単独で使うためのもの。使ってみて判ったのだがあまり多機能なモノではない。しかしいくつかプラグインが入っていてマウスでグリグリとエフェクトを欠けるのHyperPrismeの醍醐味を味わえる。
あと基本的に非破壊編集ソフトなので編集してもセーブするだけでは他のソフトで使えるようなファイルにならないので、編集の内容が反映されたサウンドファイルをセーブするメニューからセーブしないとダメ。
最初これに気が付かず、TWEで編集し直したりして時間をかなり無駄にしてしまったが、マウスグリグリエフェクトの掛かったファイルのセーブのしかたも判ったので良しとする。これは色々使えそうだ。
記録日：4月2日（日）
記録者：丹凡仙仁
えー、１０世代前のしょぼしょぼWindowsパソコンで音楽を作ると決意した矢先ではございましたが、妻のお慈悲によりiBook購入の許可が降りまして。買ったのは前のバージョンのiBookに128Mのメモリーを積みまして19万弱でした。
会社のパソコン使ってTESTONE#1作ったりしてたんですが、自分のパソコンではなかなか難しい状況だったので新規パソコン導入に踏みきった訳です。
旧式パソコンでどこまでできるかというチャレンジもおもしろいんですが、あまりにも旧式なため、音楽やってるのかパソコンいじりやってるのか判んなくなっててCsoundという方法論には可能性を感じつつも、製作環境には最近とみにストレスがたまっちゃったんですよ。
ただ、買って一番最初にインストールしたのがSoftWinodws98という（笑）。なんでこんなことしたかというとAcidを入れたかったからで、これとMetaSynthStudioをいれてデータをやりとりしながら音楽を出来る環境を作りたかったんです。
Csoundでスクリプト書くのは楽しいけれど俺のDSPに関する知識量ではリングモジュレーター作って喜んでいるのが関の山なんで、MetaSynthみたいに直感的に判るソフトで勉強して、それからCsoundとかSuperColliderとかやっても遅くない気がしてます。
Acidもコンピュータだけでループ作るには最強の環境なのでMetaSynthで音作ってAcidで組み立てて、またMetaSynthに送ってという作業がこれからワシの中心的な製作スタイルになるでしょう。大体まだMIDIインターフェイスを買ってないという。
あとヘッドフォン使うとiBookも音良いです。うちのへなちょこラジカセより良い音ですな。
という訳で今後しばらく実験日記はこの路線でいきますのでよろしゅう。